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2019年04月08日
既存マンションで一括受電方式に変更するには区分所有者全員の承諾が必要です

マンション一括受電とは、マンションなどの集合住宅において、集合住宅全体と電力会社との間で高圧電力契約を締結し、各専有部分利用者は高圧電力契約者と低圧電力契約を締結することで、

電気の供給を受ける電気契約の方法のことをいいます。

これによれば、高圧電力料金単価と低圧電力料金単価の差によって、電気料金を引き下げることができるというメリットがあります。

電力自由化によって、一括受電サービス業者が、マンション管理組合に営業をしているケースも多々あるようです。

 

既存マンションにおいて、管理組合が一括受電方式を選択するには、

個々の区分所有権者が、現在の契約中の電力会社との契約を解約して、

新たに一括受電サービス業者と契約を締結する必要があります。

それでは、それに従わない区分所有権者がいた場合どうすれば

よいのでしょうか。

この点、最近、注目すべき最高裁判例が出ました。

最高裁平成31年3月5日判決です。

 

結論から言えば、管理組合の決議のみで、一括受電方式を採用することはできず、

各区分所有権者全員の承諾が必要となるという判断でした。

その理由は以下の2点です。

 

1つめ

総会決議で決められるものは、共用部分の変更又はその管理に関する事項

にとどめるものであるが、マンション一括受電方式の導入は、

個々の区分所有権者の専用部分の使用に関する事項も含むものであり、

共用部分の変更や管理に関するものではないため、

総会決議では決めれない。

 

2つめ 

個々の区分所有権者が、その専有部分において使用する電力の供給契約を解約するかどうかは、

それのみでは、直ちに他の区分所有権者の専用部分の使用又は共有部分の管理に影響を及ぼすもの

ではなく、また電力会社の変更がなされないことにより、専有部分の使用に支障が生じることもなく、共有部分の適正な管理が妨げられることもないので、規約で解約を義務付けるようなことは

できない。

 

この最高裁判決は、第1審、第2審の判決を覆すものであり、

この判決の評価は、これからいろいろあ出てくるとは思います。

参考までに紹介します。